Lady★Goのはじまり


「Lady★Go」は2020年2月の「第1回Lady★Goイベント」を皮切りにスタートしました。スタートにこぎつくまでは、紆余曲折あり、様々な困難もありました。当初は、「こういうのが必要なのは都会だけで、地方にはこんなプロジェクトは必要ないだろう」という声もありましたし、「働く女性に特化したプロジェクトなんて需要ない」とさえ言われました。しかし、実際スタートしてみると、この地方においても、潜在的な女性起業者がたくさんいることに改めて気付くことになります。

 

今まで開催したイベントやセミナーの参加者の方の中には、未起業者(起業予定者や起業に興味がある方)が非常に多いです。また、すでに起業されて事業をされている方においても、「継続的に知識取得やレベルアップをしていきたい」という意向が強く(Lady★Goでのアンケート調査より)、この地域での起業に関する情報発信やサポート体制の潜在的ニーズを実感しています。「Lady★Go」の存在意義や、求められている役割は、プロジェクトメンバーがスタート当初に思い描いていたものよりはるかに大きいのです。


<はじまりのSTORY>

本庄市が抱えていた課題ー思うように進まなかった女性活躍推進ー

本庄市商工観光課では、事業者の支援だけでなく、多様な働き方の実践企業の推進と女性が働き続けられる環境づくりにも力を入れています。この地域がますます魅力的で住み心地のよい地域となるようにと様々な施策を展開しており、「女性活躍推進」も商工観光課が力を入れている施策の一つです。

これまでには、女性活躍推進・女性起業者育成に関する事業として、「創業セミナー」を主に開催してきました。しかし、正直なところセミナーにお越しいただける女性は少なく、支援者として、ターゲット層に届けたい情報が届かないことにずっと悩んでいました。

「創業セミナー」の開催では、思ったように効果が出ず、「この地の女性には、起業に関する情報のニーズはあまりないのではないか」とさえ思っていた矢先、ある女性経営者からの提案で風向きが変わったのです。

本当に役立つ情報を必要な人に届けるために

アトリエDEMETAN 代表 内原 絵美

 

私は、結婚を機に会社員を辞め、本庄の地で起業しました。起業から3年ほど経った時、本庄商工観光課の方からお声掛けいただき、創業セミナーで創業体験談をお話する機会をいただいたんです。そのセミナーは本庄市だけでなく近隣の地域の女性起業者も複数登壇し、様々な業種の創業体験談を聞けるもので、とても有意義な内容のセミナーでした。しかし、参加者はとても少なく、聴講者の多くは支援者側(行政や商工会議所などの方)の方達で、本当に聞いてほしい女性たちには来ていただけていなかったんです。そのセミナーの内容構成が良かっただけに、私はその時「とてももったいないなあ」と感じたのを覚えています。

 

地域を活性化する一つの方法として、「創業者を増やす」という考え方は間違っていないと思うのですが、創業支援の手法は、「創業セミナー」を全国的によくある形で開催することだけではないと思います。もっと、その地域らしく、特色を持って、その地でビジネスを展開する魅力を十分に伝えられる形はないかと考え、「気軽に参加しやすい」「堅苦しくない」「難しくない」「ロールモデルと出会える」「仲間が作れる」、そんな女性活躍推進のカタチを商工観光課の方にご提案させていただきました。

 

私一人では、地域を変えることはできません。そんな時に、力になってくれたのが、同じ起業仲間でもあった「すみれデザイン」代表の山路晴巳さんでした。彼女は、「デザインの力で地域を活性化したい」と、地域の経営者やそのビジネスをブランディング視点で支えている方です。彼女自身もとてもアクティブで、新しいことにチャレンジすることを「楽しい」と感じてくれる方なので、「彼女となら一緒に地域を変えられるのでは」と思い、このプロジェクトの企画前段階からお声掛けし参加いただいています。

 

私と山路さんは、今では「Lady★Go」のプロデューサーを務めさせていただいています。この地域を愛し、この地域で起業した者だからこそできるサポートのカタチがあると思います。私たち二人とも、「大変なことも多いけれど、起業して幸せ」だと心から思っています。この「Lady★Go」プロジェクトを通じ、「自分らしく働く幸せ」を多くの女性に伝えていければと思っています。


<参考>どうして今「女性」の活躍推進が大事なのか

●日本の成長は女性の活躍にかかっている

人口減少・少子高齢化が叫ばれる日本では、このまま行くと労働人口は急激に減少し、国の生産力はどんどん低下していってしまいます。その状況を打破するためには、労働の「効率化」「多様化」だけでなく、女性の労働参加促進も大きな鍵となります。

全国の自治体で女性活躍を推進しているのはそういった国の切実な課題があるからです。

●女性の社会的地位はまだまだ低い

「働き方改革」、「ダイバーシティー&インクルージョン(D&I)」というワードをよく耳にするようになりました。社会での女性の雇用は促進され、女性の社会的地位も向上しつつあるように感じます。しかし、男女格差の世界ランキング(グローバル・ジェンダー・ギャップ指数2020)では、日本は先進国最下位です(153か国中、G7最下位の121位)。これは、政治や経済分野に女性リーダーが少ないことが一つの要因だといわれています。

また、日本において「女性活躍推進法」がスタートして5年ほどが経ちますが、当初の目標(2020年までに企業内で指導的地位に女性が占める割合を30%にする)に全く到達していない状況です。

女性活躍推進法:日本の「少子高齢化」に伴う労働力減少の危機に向けて、社会全体で雇用環境の整備を図り、女性が継続して働き、充実した職業生活を送れるようにするための法案 

●女性は起業にチャレンジしにくい環境に置かれている

経済産業省「女性起業家実態調査」のデータをみると、女性は起業にチャレンジしにくい環境にあることが示されています。日本社会にはびこるアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)の影響で、「家事や育児」「介護」などを女性が担うことが多い中、キャリアとの両立に悩み、相談できるロールモデルがいないため、新しいことを始めたい気持ちがあっても心にブレーキがかかってしまうのです。

また、女性は職場以上に家庭の中で不当な思いを抱いているという調査結果もあります(リンクトイン「日本女性の仕事と生活に関する意識調査」2020年)。その結果の中では、仕事の機会を妨げているものとして、「家庭内でのサポートが足りない」と回答した女性は44%にものぼっています。日本においては、「稼ぐのは男の責任、子育ては女の責任」という性別役割分業意識がまだ根強く残っているのかもしれません。